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男の着物はなぜ地味か?

先日私のFace Bookに『女性の着物は種類が多いが、男性のは地味なものが多いのはどうして?」とコメントがありました。

私は女性ですので、着物活性と声高に言っている被写体は必然的に女性用の着物に傾きます。事実女性の着物は種類が多く着る段取りも男性よりも多いからです。しかし、そのコメントに何か日本人男性の着物活性に繋がる活路がありそうで、私なりに深掘りして見ました。

2018年のショー。黒紋付にメガネ、帽子で明治の和魂洋才を表して見ました。


確かに、着物の温故知新ショーなどで、男性にランウェイしていただく着物はほとんど地味目です。
モデルの顔を見ながら必然的に浮かぶ男性の着物の色、それは渋い色ばかりです。
男性独自の体系や、顔の濃さ、全体の形には花鳥風月や赤、桃色、紫がフィットしないのです。しかし、地味であるからこそ、小物が光ることも見逃せません。

着物には男性の美しさと、女性の美しさは『同じ』では無く、それぞれが違う美しさがあると思います。
もしも、街で派手な着物を着ている男性がいたら、客寄せ目的のチンドンやさんか、演歌歌手の方か、寄席の集まり….という背景を想像します。
普通にお出かけする一般人のイメージが出来ません。
女性が花鳥風月の華やかな着物で、街を歩いていたら、美しいと思えるのに、男性が同じものを着ないのは、男性には女性にない美しさがあるということです。

男性の着物の色は落ち着いていて深い。洋服には無い意識が存在します。

男性の着物の見た目は色や柄などに華やかさははなく、シンプルな色合いの中に生地の風合、色の取り合わせ、そして裏地や小物におしゃれを追求して、個性を演出していました。
男性の着物は、見えないところに拘るというのが、伝統になりました。
一方、女性は、化粧をして、髪型も盛り上げ、赤黄色、緑などの花鳥風月、縞や、格子柄など、見えるところに拘ることが伝統にあります。

男性着物には派手な柄がなく、無地のものが多い

代々、身内のものを、仕立て直しての着用がし易い事も理由でしょう。
江戸時代の庶民の男の正装は羽織と袴。そして普段着は一般的に着物に帯の着流し姿。
普段着の着物は、小紋染めや唐桟(とうざん)木綿などの縞の着物が好まれ、帯を結ぶのが一般的。
夏に着る薄物には、薩摩上布や越後上布、松坂木綿の縞の着物などが普段着として着られていました。

薄い光沢のあるブルー。若い三味線アーティストに映えます。

江戸時代の話で、ある一人の男が毎日毎日同じ羽織ばかり着ていて、「あいつは一着をいつも着まわしている」と言われていました。
しかし、男の家を訪ねて見たら、同じ羽織がずらりと五着。しかも裏地が全部違えていました。
武士は食わねど高楊枝のように、ちょっと分かり辛いところに拘りを持って楽しむのが男の粋だったようです。
無地に見えてよく見ると、超細かい縞模様だったり。煙草盆に付けた根付けに細工がしてあったり。

現代の日本人が普段着用するファッションは、どんな色でも着ることは自由です。
しかし、着物には1000年の歴史があり、歴史的な変遷の中で生まれた美意識が今でも存在しています。
男の着物の色は確かに地味ではありますが、それを着る人が人生の深さを加えて奏でる妙技だと思うのです。

皮革の手袋もメガネとマッチ

色や模様を表に出して自分を表現するよりも、男の美学は持ち物への愛着に存在していると感じています。様々な色のものをゴテゴテとつけるのでは無く、持ち物を目立たせるようなシンプルな色使いで、色を引き算使いできるのがコツ。
なかなか現在の男性も女性も着物を着なくなりましたが、何度か着ているうちにそれがわかると思います。
着ましょう!

国宝消滅

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